住宅

もう迷わない断熱材!「これがおすすめ」はウソ!?

断熱材どれがいいの?

住宅メーカーによって標準とする断熱材が異なります。

どの営業さんも自社の断熱材こそ優れていると言います。

結局どれがいいの?

わからなくなってきませんか。

ネットで調べると、おすすめの断熱材と言った情報があふれています。

人によって、サイトによってオススメが異なります。

つまり、おすすめは人によって違うのです。

最強の断熱材○○と紹介している人もいますが、

そんなに都合のいい品は存在しないと言うのが私の結論です。

断熱材は数多く種類があります。

その人の需要にマッチした断熱材こそ、その人にとって最強の断熱材となります。

今回は、

迷わない断熱材の選び方についてお話しします。

断熱材の目的は断熱すること

当たり前のことですが、いろいろな情報を仕入れるうちに忘れがちです。

  • 燃えにくい
  • 防虫作用
  • 吸湿作用
  • 防音効果

ついつい付随するメリットにばかり目を奪われてしまうんですよね。

住宅メーカーもそれをよくわかっています。

本質ではないところを推してきている場合は、一度原点に立ち返って考えたいです。

防虫するなら防虫剤の方が効果的です。

吸湿は除湿乾燥機、防音ならば部屋自体を防音構造にするべきです。

火災に関しても、断熱材まで火が回る頃には、すでに家の中は火の海です。

もらい火の場合でも、1番に対策するべきは外壁です。

もちろん断熱以外にメリットがあるならば採用してもよいですが、断熱材はあくまで断熱のためと割り切って考えることが大切です。

断熱材に一番に求めることは何でしょうか。

それは断熱です。

断熱材は「断熱材の種類と厚み」

断熱材の材質だけで比べてしまいがちですが、断熱材で大切なことはそれだけではありません。

比べるならば、種類と厚みです。

熱の伝わりやすさ

熱の伝わりやすさを熱伝導率といいます。

材質によって熱伝導率が違います。

熱伝導率は、「W/m・K」で表されます。

断熱材を1m用意したとき、もう一方の面の温度を1ケルビン(K)上昇させるために必要な熱量を表します。

数値が高いほど熱伝導率が高くなり、低いほど熱伝導率が低くなります。

熱が伝わりにくいほど、断熱性能は高くなるので、熱伝導率が低い断熱材ほど断熱性能が高くなります。

断熱材の種類によって熱伝導率が異なる

熱伝導率が低い=断熱性能が高い

断熱材の厚み

熱伝導率は断熱材1mで比較したときの温度の上昇する度合いを表しています。

住宅において1mも断熱材は用意しません。

柱が105mmであることが多いので、壁の中の断熱材は良くて105mmです。

外張り断熱の場合、40mmの場合もあります。

いくら熱伝導率の低い高性能の断熱材であったとしても、厚みがなければ断熱効果は低くなります。

熱抵抗値

熱伝導率と似ていますが、熱の伝わりにくさを表す数値として、熱抵抗値というものがあります。

単位は「m2・K/w」です。

熱伝導率と似ていますので混同しないように注意しましょう。

熱抵抗値は、断熱材の熱伝導率と厚みから実際に熱の伝わりにくさを表す数値です。

熱抵抗値=厚み(m)÷熱伝導率(w/m・K)

熱抵抗値は、数値が大きいほど高性能な断熱材

例えば、グラスウール(熱伝導率0.04w/m・K)で考えてみましょう。

(例1)厚み100mmの場合
    0.1(m) ÷ 0.04(w/m・K) = 2.5(m2・K/w)
(例2)厚み50mmの場合
    0.05(m) ÷ 0.04(w/m・K) = 1.25(m2・K/w)

同じ材質でも薄ければ、熱抵抗値が低くなります。

高性能と言われるフェノールフォーム(熱伝導率0.02 w/m・K)でも、
(例3)厚み40mmの場合
    0.04(m) ÷ 0.02(w/m・K) = 2 (m2・K/w)

グラスウール100mとフェノールフォーム40mmでは、厚いグラスウールの方が断熱効果が大きいということになります。

断熱工法

断熱材をどこに施工するかによっても差が出ます。

壁の断熱

大きく分けて3つの工法に分かれます。

①充填断熱(内断熱)

柱の間や、壁の内部に断熱材を敷き詰めます。最も一般的な工法です。

メリット壁の内部のスペースを有効活用できる
安価
デメリットきっちり敷き詰めることが難しく、断熱欠損になりやすい

②外張り断熱(外断熱)

躯体の外側を断熱材で包みます。

メリット内断熱よりも断熱欠損が少ない
デメリット充填断熱より高価
内断熱よりも厚みを持たせることができない

②付加断熱(ダブル断熱)

内断熱と外断熱の両方を行います。性能重視の住宅メーカーで採用されています。

メリット3つの中で最も断熱性が高い
デメリット3つの中で最も費用も高い

上部の断熱

2つの断熱工法があります。

①天井断熱

天井の上に断熱材を敷き詰める工法です。家づくりではこちらが主流となります。

メリット断熱材を厚くできる
安価
空間が小さくなるので省エネ
デメリット小屋裏空間が利用できない
小梁などがあるため、隙間ができやすい

②屋根断熱

屋根に沿って断熱材を敷き詰めます。

メリットデメリットは天井断熱の反対になります。

メリット小屋裏空間を利用できる
小屋裏に熱がこもらない
断熱欠損が少ない
デメリット断熱材の厚さに制限がある
天井断熱に比べて高価
冷暖房の空間が大きくなる

下部の断熱

主に2つの工法があります。

①床断熱

床下に断熱材を敷き詰める工法です。今の家づくりの主流はこちらです。

メリット安価
シロアリ被害の可能性が少ない
デメリット気密性の確保が難しい
冬期底冷えしやすい

②基礎断熱

基礎の周囲(内周もしくは外周)を断熱材で覆う工法です。

メリットデメリットは床断熱の逆になります。

メリット気密性が確保しやすい
冬期底冷えしにくい
デメリット高価
シロアリ対策が必要となる

断熱の工法も様々なんだね

断熱材の比較表

主な断熱材の熱伝導率と工法です。

あくまで参考値ですので、各メーカーが出しているカタログの数値が最も正しい情報となります。

(参照:国土交通省「断熱材の種類の例」

断熱材の選び方

断熱材はどれでも良いと言いましたが、

適した厚み、適した工法であれば、材質はこだわらなくて良い。

と言うのが私の考えです。

天井断熱など、厚みを出せる良い場所には、熱伝導率よりは安価な素材が適切です。

逆に、外張り断熱など厚みを持たせることが困難な場所は、熱伝導率にこだわるべきです。

基準としては、一番ポピュラーなグラスウール(熱伝導率0.4前後)105mmと比較してみることをオススメします。

住宅メーカーの標準はどの断熱材、工法なのか

住宅メーカーの標準の断熱材、工法からできるだけ外れないことが大切です。

断熱材や断熱工法は、高い施工技術があってこそ、その能力を発揮することができます。

気に入った断熱材があるからと、施工事例の少ないものを選んでしまうと、適切に使用されない可能性があります。

断熱性能にとことんこだわる場合は、自分の気に入った断熱材、工法を用いている住宅メーカーを選ぶ方が堅実です。

まとめ

  1. 断熱材はあくまで断熱のためのもの
  2. 断熱材の決め手は「材質と厚み」
  3. 材質に対する厚みが適切であれば、気にしすぎなくて良い
  4. 住宅メーカーの標準から大きく外れない

今回は断熱材について少し突っ込んだ話になりました。

断熱材から住宅メーカーを見てみるのも面白いかもしれません!