シックハウス対策のハウスメーカー選びはこちらをお読みください。

今回は、ハウスメーカー選びに関係する換気システムのお話です。
ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が苦手な人は換気システム選びが大切です。
ちなみに私は、
- 花粉症
- ハウスダストアレルギー
- 化学物質過敏症
を持っています。
そろってるね・・・!
私の経験も踏まえて、シックハウス対策(+アレルギー)対策の家づくりを考えていきます!
おすすめ換気システム
私のおすすめは、
排気ダクト第1種換気、またはダクトレス第1種換気です。
さらに言えば、熱交換型の第1種換気「澄家」です。
熱交換型第1種換気?ダクトレス?
どうして澄家?
解説の前に、
換気システムは、家の設計に深く関わります。
住宅メーカーが採用していない換気システムを無理に導入しようとすると、施工ミスにつながります。
換気システムは、それだけ設計力・施工力を要するものです。
換気システムを重視する場合は、導入したい製品の施工事例が多い住宅メーカーを選びましょう。
すでに住宅メーカーを決めている場合、そのメーカーが提示する選択肢の中から選ぶ方法がベストです。
では、順に説明していきます。
換気システムの必要性
新建材の導入と住宅の高機密化によって、シックハウスの症状が現れる人が増えました。
それに伴い、平成15年から「24時間換気システムの導入」が義務付けられるようになりました。
建築基準法では、「1時間で部屋全体の空気の半分以上が入れ替わっていること」が必要であると定めています。
(参照:国土交通省R4「建築物における効率的な換気の促進に関する取組事例集」より)
しかし私は、建築基準法はあくまで「最低限必要な基準」だと考えています。
VOCに敏感な方々にとっては、その基準だけでは不十分な可能性が高いです。
換気システムもしっかり選ぶ必要があるんだね。
換気方法の違い
換気システムには3つの換気方法があります。
ハウスメーカーでも話を聞いたことがあるかもしれませんので、簡単に説明します。
換気のメカニズムは簡単です。
外の空気を中に入れ、中の空気を外に出します。
換気システムはこの空気の入れ替えをファン(換気扇)によって強制的に行います。
このファンのつく場所によって仲間分けがされています。
ファンの場所 | 備考 | |
第1種換気システム | 吸気口(外の空気を取り込む) 排気口(部屋の空気を外に出す) | 熱交換付きのシステムもある |
第2種換気システム | 吸気口のみ | ほとんど使われていない |
第3種換気システム | 排気口のみ | 住宅メーカーの多くが採用 |
吸う方につくと2種、
吐く方につくと3種、
2つ合わせたのが1種だね
選択肢は1種か3種
どうして第2種換気システムはほとんど使われてないの?
2種換気はファンで吸気し空気を押し出すことで排気するので、室内の気圧が高く(正圧)なります。
すると、部屋内の空気は壁へと押し出され、壁内結露を引き起こす可能性があるからです。
圧倒的に多いのは第3種換気
第1種よりコストも抑えられます。
また、中から強制的に空気を排出するので、部屋の中は気圧が低く(負圧)なり、壁内結露の可能性が減ります。
多くの住宅メーカーはこの換気方法を標準としています。
ふむふむ、さあどうやって選んでいこう?
シックハウス対策!換気システム3つの柱
シックハウス対策において、欠かせない考え方が3つあります。
①24時間換気は絶対に止めない
一番大切です。
シックハウス対策のための24時間換気なので、止めてしまっては元も子もありません。
②換気計画の立てやすい換気システムを
「どの部屋も1時間に半分以上の空気を入れ替える」ことが目的です。
その計画どおり換気ができるシステムを導入するべきです。
③メンテナンスは大切
換気システムはフィルターの定期的な掃除が欠かせません。
目詰まりを起こしてしまうと換気効率の低下、室内の空気の悪化を招きます。
この柱を大前提に、換気システムの選び方を考えていきます。
ファンはシロッコファン
換気システムのファンには、主に2タイプあります。
プロペラファン
昔の換気扇や扇風機のような羽がついているファンです。
安価ながら風量は強力です。
一方で、屋外に面した壁に設置するため風の影響を受けやすいことが欠点です。
賃貸のとき、強風だとキッチンの換気扇が勝手に回ってたなあ
排気する側から、逆に外気が流入してしまっては、計画通りの換気ができません。
第3種換気システムにはこのタイプがあります。
シロッコファン
ダクトを通して廃棄するため、風の影響を受けにくく、計画換気に適しています。
キッチンのレンジフードにも採用されています。
シックハウス対策には欠かせない計画換気。
そのためには、外の影響を受けないことが大切です。
吸気側ダクトは避ける
VOCには直接関係ありませんが、より綺麗な空気を取り入れるために、吸気側はダクトレスがおすすめです。(私は花粉症、埃アレルギーなもので。)
換気システムによっては、排気側にダクトがあるもの、吸気側にダクトがあるもの、両方ダクトのものがあります。
避けるべきは吸気側、つまり外の空気を入れる側にダクトがある製品です。
どうして避けるべきなの?
外気には、埃、砂、花粉などが含まれており、室内の空気より汚れています。
フィルターはありますが完璧ではなく、ダクト内が汚れやすくなります。
万が一ダクトが汚れた場合、個人での清掃は難しく、専門の業者も多くありません。
外から取り入れる新鮮なはずの空気が、埃まみれのダクトを通ってくるのは嫌ですよね。
熱交換器は必要?
外気をそのまま取り込むと、夏は暑い空気が、冬は冷たい空気が部屋に入ってきます。
室内が快適な温度からどんどん遠ざかっていきます。
できるだけ部屋の温度を一定に保つ工夫が熱交換です。
吸気する空気を排気する空気と交差させることで、外気温を室温に近づけてから取り込むことができます。
第1種換気にはこの熱交換器を付けることが可能です。
しかし、必ず必要というわけではありません。
換気システムといっても「1時間に半分入れ替える」程度です。
エアコンを使えば十分に温度調節できます。
エアコン代が気になるなあ。
その気持ちはわかります。
しかし、シックハウスを考えた場合、室温と湿度は一年中一定であることが理想的です。
シックハウスの方にとって夏と冬は大敵です。
ホルムアルデヒドを含むVOCの揮発量は、室温が高いと増加します。
また乾燥しがちな寒い冬は免疫が低下し、VOCの影響を受けやすくなります。
冷暖房器具の電気代を気にしすぎると、体調を崩す恐れがあります。
温度調節は大切なんだね。
でも電気代もやっぱり気になるし、少しでも電気代を抑えられる第1種換気にしようかな!
本当に電気代を抑えられるの?
熱交換器付きの第1種換気は、冷暖房費を抑えられる?
第1種換気を売りにしている住宅メーカーはよくこれを言います。
しかし、熱交換型の第1種換気は初期コストも高く、換気システム自体の電気代も高くなります。
延床面積120㎡ | 導入コスト | 運転電気代 | 冷暖房費 |
第1種・第3種の差額 | 約40万円高い | 約0.5万円高い | 約1.7万円安い |
(YouTube 松尾設計室「一種換気 つけた方がいいか自分で判断する方法」より)
設計士の松尾先生によると、初期コストを日々の冷暖房費で補えるかというと、厳しい面があるそうです。
地域や暮らし方によりますが、トータル的に第3種換気の方が安くなる可能性があります。
コストで見るならば、トータルで考えるべきだね!
第3種換気は?
リスクを許容した上で、判断していただければと思います。
ただ、製品によってはおすすめしないものもあります。
換気システムを止めてしまうリスク
意外とよくあるパターンです。
第3種換気は自然吸気なので、外気をそのまま取り入れます。
熱交換はないため、夏は暑い空気・冬は寒い空気が入ってきます。
寒いけど電気代はもったいないし
と吸気口を塞いだり、換気システムを停止したりする方がいます。
換気システムはシックハウス対策の要なので、止めてしまっては悪影響です。
住宅メーカーの営業さんに話を聞いた際、
夏や冬は皆さん結構換気システム止められる方多いんですよ。
だから、3種換気でも大丈夫ですよ!
と説明される方もいました。
もっての他です。
換気が計画通りに行うことができないリスク
第3種換気は、ダクトレスタイプを標準採用としているメーカーもあります。
排気側のファンが空気を外に出すことで、吸気側から空気を取り入れます。
理論上はそうですが、実際うまくいかない場合があります。
気密性能、排気口と吸気口の位置をしっかり計算しなければいけません。
吸気と排気を機械で行う第1種換気よりも、計画換気のハードルが上がります。
負圧のリスク(個人差あり)
これは万人に当てはまりません。
第3種換気は室内が負圧になると説明しました。
つまり、壁内部の隙間からも室内へ空気が入り込みやすくなります。
結露対策には最適ですが、シックハウス対策には懸念事項があります。
壁内には、合板や集成材、断熱材が入っています。
それら建材に含まれるホルムアルデヒドが部屋の中に放散される可能性があります。
私は、10社程度の第3種換気のモデルハウスに行ったのですが、喉に違和感を覚えました。
同ハウスメーカーの第3種換気と第1種換気を比較しても、第1種換気の方が違和感を感じませんでした。
しかし、これは実測値ではありません。
体質に合わない方もいるという、程度に参考にしていただけると助かります。
全館空調を勧められたけれど?
性能特化のハウスメーカーで、シックハウス対策に勧められることがあります。
しかし、私はあまりおすすめしません。
故障した場合、換気システムまで停止する
エアコンと換気システムを兼ねているので、故障するとどちらも使えなくなります。
吸気、排気ともにダクト
吸気側ダクトが汚れるリスクは想定しておく方が良いでしょう。
コスト
全館空調システムは導入、ランニングともに一番お金がかかります。
健康面に関してはコストをかけるべきって考えじゃなかった?
確かにその通りです。
しかし、1番のシックハウス対策は、VOCをできるだけ使わない建材を選ぶことです。
自然素材や安全に特別配慮された建材は、一般的に割高になります。
削れるところは削り、その分無垢材や塗り壁などにお金をかけた方が良いと考えます。
全館空調システムは、快適な空間を作るための素敵な考え方です。
上記リスクも踏まえた上で、採用するのはありだと思います。
おすすめ換気システム
以上から、排気側のみダクトの第1種換気かダクトレス第1種換気をおすすめします。
排気ダクト、ダクトレス比較
それぞれメリットデメリットがあります。
排気側ダクト第1種換気 | ダクトレス第1種換気 | |
初期コスト | 高い | 安い |
熱交換効率 | 良い | 悪い |
計画換気 | 良い | 悪くなる可能性あり(吸気口排気口の正確な計算が必要) |
設置難易度 | 高い(ダクトを各部屋に通すため、施工難易度は上がる) | 低い |
ダクト汚染 | 可能性あり(排気ダクト) | なし |
メンテナンス作業量 | 多め | 少ない |
おすすめ換気システム3選
排気ダクト第1種換気、ダクトレス第1種換気のおすすめを1ずつ紹介します。
また、第3種換気を検討されている方のために、排気ダクト第3種換気もご紹介します。
おすすめ① マーベックス 澄家
排気のみダクトの第1種換気です。
吸気側がダクトレス、熱交換効率が90パーセントと高いことが特徴です。
吸気口、排気口が床下についており、下に溜まったハウスダストを舞い上げずに排気してくれます。
メンテナンスも比較的簡単に行えます。
おすすめ② エディフィス省エネテック VENTOsan
ダクトレス第1種換気です。
換気システムに関しては、ヨーロッパが抜きん出ています。
ドイツ発祥の換気システムです。
吸気と排気を交互に行うことで、ショートサーキットを防ぎます。
ダクトレスにしては非常に優秀な熱交換率87パーセントです。
ダクトレスだけあってメンテナンスは非常に簡単です。
おすすめ③ 日本住環境 ルフロ
排気ダクト第3種換気です。
排気側にダクト、シロッコファンを用いているので高い換気性能が期待できます。
熱交換はできませんが、初期コスト、ランニングコスト共にルフロに軍配が上がります。
ちなみに私は、澄家を採用
1番の決め手は排気が床面にあることです。
ハウスダスト、埃、花粉は床に溜まり、歩くたびに舞い上げられます。
このことから、床に排気口があることは、理にかなっています。
ダクト、コストを考えましたが、澄家の方が利点が大きいと考えています。
しかし、欠点もあります。
澄家を採用する場合は基本的に基礎断熱です。
施工できる(慣れている)住宅メーカーは限られていますので、気をつけてください。
私の場合は幸いにも、施工可能な会社が数社あったため、比較検討できました。
私と同じように、花粉やハウスダストにアレルギーをお持ちの方は、採用可能かどうか住宅メーカーにたずねてみてください。
まとめ
シックハウス対策におすすめの換気システムは、
熱交換に魅力を感じる換気効率優先 | 排気側のみダクトありの第1種換気 (例)澄家 |
熱交換に魅力を感じる ダクト汚れは避けたい メンテナンスは最小限に | ダクトレスの第1種換気 (例)VENTOsan |
換気効率優先コスト優先 メンテナンスは最小限に | 排気側のみダクトありの第3種換気 (例)ルフロ |
番外編:ハウスダストや花粉が気になる | 床面排気の換気システム (例)澄家 |
- 全館空調システムはリスクやコストも踏まえて検討を!
- 家づくりで換気システムを優先する場合は、施工事例の多い会社に建ててもらう。
換気システムも、こだわると奥が深いです。
家づくりをされる皆さんが気にされるところなので、多くの情報が溢れています。
住宅メーカー、専門家も立場によって意見が異なります。
自分で調べることが苦でなければ良いですが、第3者視点で立つことのできる業者を入れることもおすすめいたします。
